【知識強化】中小企業診断士 H25年 事例Ⅰ 第1問(設問1)で必要な知識
平成25年 事例Ⅰ の第1問(設問1)に必要な知識をピックアップしました。
直接解答の文面に現れなくても、思考する段階で必要なものも含めています。
コンテンツ
問題 中小企業診断士2次試験 H25 事例Ⅰ 問題1(設問1)
A 社は、ここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ。
設問1
A 社のこれまでの成長を支えた、健康食品の通信販売事業を長期的に継続させ ていくために必要な施策として、新商品の企画や新規顧客を開拓していくこと以外に、どのような点に留意して事業を組み立てていくことが必要であるか。
80 字以 内で答えよ。
知識1 アンゾフの成長マトリックス
全社戦略を考えるときのフレームワークの一つが「アンゾフの成長マトリックス」。
縦軸に「市場」、横軸に「製品」を取り、横軸に「既存」、「新規」の2区分の4象限のマトリクスとしたものです。
- 市場浸透戦略
既存市場で既存製品・サービスを展開する戦略。競合他社との競争に勝つことにより、マーケットシェアを高めていくことが主となる。 - 新市場開拓戦略
新市場で既存製品・サービスを展開する戦略。新たな販路を見いだすことが主であり、例えば、海外展開を実施していくことが挙げられる。 - 新製品開発戦略
既存市場で新製品・サービスを展開する戦略。既存製品に新たな機能を付加したり、新製品・サービスを開発するものの、あくまでも既存顧客への展開を目指す。 - 多角化戦略
既存の事業を維持しつつ、新市場で新製品・サービスを展開する戦略。新たな分野で成長を図る戦略であり、高リスクを伴う場合が多い。
出典:2017年度中小企業白書:第2-3-1図 企業の事業展開の戦略について
選択した領域で、次のことを考えていくと思考の整理になります。
- 領域:どのような顧客、なにを売るのか
- 優位性:どのような強みで訴えるのか
- 手段:どのように実現するか
- 理由・効果:この組み合わせが利益につながる理由、組み合わせによって生じる効果
設問文に「新商品の開発」「新規顧客を開拓」以外という文章から、アンゾフの成長ベクトルを想起できるとヒントになります。この2つは、新製品開発と新市場開拓は使わないという制約です。
注意点:新規顧客の扱いについて
市場浸透戦略の知識で誤解されやすいのが新規顧客獲得の扱いです。
純粋に市場浸透戦略といった場合は、新規顧客の獲得も視野に入れます。
「その市場にいる製品を使ったことがない顧客」もしくは「他社の製品を利用している顧客」です。
この設問では、「新規顧客の開拓以外」という制約があるため、市場浸透戦略の中でも既存顧客にフォーカスします。市場浸透戦略だから既存顧客にフォーカスするという考えは間違いです。
2.SWOT
自社戦略立案のためには内部分析と外部環境の分析が欠かせません。
そのために活用されるのがSWOT分析。定番です。
セオリーとして、第一優先は、自社の強みを外部環境の機会に活用することになります。
3.バリューチェーン分析
商品をエンドユーザーに提供するまでの工程の連なりをバリューチェーンといいます。例えば、企画・開発、設計、製造・販売・アフターサービスといった流れです。
バリューチェーン分析では、企業の活動を「主活動」と「支援活動」に分けて、構造を分析します。
この主活動と支援活動の内容は、業界や企業によって変わってきます。
「事業の組み立て」という設問文からも、企業活動の構造を分析するバリューチェーンが足掛かりとして使えます。
4.スマイルカーブ
バリューチェーンとともに考えたいのがスマイルカーブ。
バリューチェーンの両端である「企画・開発」と「アフターサービス」が利益率が高く、「製造」部分は利益率が低いとする理論です。
直接、この問題には関連しませんが、日本の場合は、逆スマイルカーブ、つまり製造の部分に高い付加価値を見出してきました。
しかし、グローバル化する中で、利益率の低い製造を海外で行い、利益率の高い両端に自国で力を注力するという考えがあります。そうなると、市場のニーズの把握とプロモーションや顧客管理に力を入れる必要が出てきます。事例Ⅱや事例Ⅲとつながるところがでてきますね。
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