事例Ⅱ 商店街のマーケティングミックス

H27年事例Ⅱでは、今までと異なり「商店街」が事例となる問題でした。
最適なマーケティングミクスを構築するための、マーケティング戦略としての基本思考は同じです。

しかしながら、より商店街に近いマーケティングミックスを知識としていれておくことで、難易度が下がるはずです。

1.商店街のマーケティング戦略のフロー

商店街も流れは同様です。
経営理念・ビジョン、内部環境・外部環境分析(SWOT)、ドメインを策定していきます。

上図が全体像です。
この中で特徴的なところを説明していきます。

2.環境分析とドメイン設定

環境分析では、「集客力」、「ニーズ」「市場の可能性」を把握するために次の点にも着目します。

❶ 集客力

  • 地域特性
    地域の変化している状況、全国水準との比較、核となる集客機能の有無、どんな人に対して商売をしているか、等を調べます。

  • 競争構造
    競争相手の有無、競争相手の特性、個店・商店街の置かれている状況を調べます。

  • 中心市街地の商業特性
    現在の業種業態の分析、既存の業種業態がニーズにマッチしているか、不足している業態がないか、大型店を始めとする街の集客核の有無や内容を調べます。

❷ ニーズ

  • 消費者ニーズ
    消費者のニーズとウォンツをインタビューやアンケートなどで多面的に分析します。
  • 売上げ、魅力度等の分析
    個々のお店の売り上げ状況、集客状況を分析し、商店街全体を把握していきます。

❸ 市場の可能性

  • 商圏の把握
    実際の商圏を調べ、デモグラフィック、サイコグラフィックなどの観点から、今後お客様となる可能性のあるターゲットを調べていきます

商店街のドメインともいえる商店街コンセプトは、「だれに」「なにを」「どこに」「どのように」を考えます。
「どこに」は、求められている個店群を集積させる場所とその配置を考えます。

3.商店街のマーケティング・ミックス

分析の結果、課題を特定したあと、改善のために以下の5つの視点で考えます。

❶既存店の強化

個々の店舗の発展なくして、商店街の発展はありません。個々の店舗の健康状態を把握して、不足しているところを補えないかを考えます。

❷空き店舗対策

空き店舗や弱っている店舗は、他への悪影響を与えます。対策が必要です。

❸共同店舗

効果的、特徴的な集積を実現する方法として共同店舗があります。メンバーありきではなく、打ち出した方向性に賛同するメンバー参加者を集めます。商店街の店主同士の結束力も向上します。

❹ テナント・ミックス

テナント・ミックスは、最適なテナント(業種 業態)の組み合わせのことを言います。

地域のニーズに応じた業種業態を考え、店舗を配置します。ニーズに対して不足している業種業態や強化する業種業態を特定して、最適化します。

❺ テナント・シーリング

空き店舗や共同店舗に新しいテナントを探して、誘致するのがテナント・シーリングです。

ターゲットとなる顧客のニーズや将来性、生活の利便性向上に役立つテナントの誘致を図ります。同業種の誘致はむやみに行ってはいけないことに留意します。

参考文献

本ドキュメントは、中小企業庁の商店街マニュアルを参考に作成しています。

中小企業庁:
ショッピングセンター的手法を活用した「消費者にとって魅力あるまちづくり実践行動マニュアル」
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/koudou_manual/index.html

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