令和2年事例Ⅲ 第1問で知識の深堀
令和2年度の事例Ⅲは、5問中3問が「納期」に関する設問となっており、対応しにくい問題の作りになっています。
与件文においても、問題点の原因を離れた段落に配置した入り、2つの事象を1つの事象のように記述する点が見受けられます。
色々と難しいポイントがありますが、特に運用管理の一次知識で整理が難しい。例年ですが、曖昧な一次知識が合格への足かせです。
第1問の強みの部分で「おおっと危ない」と思った一次知識について記載します。曖昧な知識が足かせになる例です。
令和2年 事例Ⅲ 第1問:与件から考える
第1問は、C社の強みと弱みを問う問題です。強みは、主に第3段落に記述があります。
創業時は、サッシ、手摺など建築用金属製品の特注品製作から始め、特に鏡面仕上げなどステンレス製品の表面品質にこだわり、溶接技術や研磨技術を高めることに努力した。その後、ビル建築内装材の大型ステンレス加工、サイン(案内板)など装飾性の高い製品製作に拡大し、それに対応して設計技術者を確保し、設計から製作、据付工事までを受注する企業になった。
上記やモニュメントの製品特性から、2点が強みとして導き出されます。
① ステンレス製品の表面品質にこだわり、溶接技術や研磨技術を高めること
② 設計技術者を確保し、設計から製作、据付工事までを受注する
令和2年 事例Ⅲ 第1問:曖昧さの罠
②を文字数を稼ぐために「一貫生産体制」という単語で書きそうになりました。
しかし、一貫生産体制といえるのでしょうか。
一貫生産体制の意味は一般的に以下のようになります。
1次製品から2次,3次製品ないし最終製品にいたるまで,自社の手で生産する体制。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
与件文には、次の記述があります。
製作終了後、据付工事があるものについては、営業部担当者が施工管理して据付工事を行い、検査後顧客に引き渡す。据付工事は社外の協力会社に依頼し、施工管理のみ社内営業部担当者が行っている。
据付工事は外注しています。自社の手で生産する体制ではないのです。
令和2年 事例Ⅲ 第1問:得点できたかではなく・・
こう書くと「一貫生産体制」では間違いという説明のように聞こえますが、採点方法は公開されていないので、点数が入っているのか、入っていないのかはわかりません。
点が入ったか、入らなかったのかという論議では、今後の学習にあまり意味がないでしょう。一貫生産体制という言葉をなんとなく使っていなかったのか、という点が問題となります。
「一貫生産体制」を「強み」としてなんとなく記述してしまうと、内製にするか外注にするかの思考が抜け落ちてしまう可能性があります。
たとえば、据付工事の施工管理ごと外注するケースや、据付工事も内製化するといった発想が出にくくなります。
ここまでくると、一貫生産体制の定義だけではなく、メリットもせっかくなので、深堀しておきます。
① 社内の情報のやり取りが可能なため、調整時間・コストが短縮できる。
② スケジューリングを行いやすい。
③ 全工程で品質結果を見ることができる為、品質を最適化しやすい。
④ 技術者を能力に合った工程への配置転換が可能。
⑤ 技術者を前工程や後工程でローテーションし、全体を把握する人材育成できる。
メリットもふまえて考えると一貫生産体制という言葉では違和感が少し出てきます。
ほんの少しのことですが、違和感のある言葉や知識は、深堀りしてみてはどうでしょうか。学習面において効果があると思います。
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