リソース化する社会と中小企業診断士(前編)
皆様は、クラウドワークスというサービスをご存じだろうか。
おそらく、ほとんどの方がしっていると思う。
クラウドワークスをみると分かるように、あらゆる専門知識やスキルの汎用化、リソース化が進んでいる。
すなわち、だれでも、低コストで専門スキルが活用できる世の中になってきている。
これまでは大企業が抱えていたエンジニアも、今ではクラウドワークスで簡単に活用できる。
さらに驚くべきサービスが、ビザスクである。
これを知っている人は、仕事で関わりがある方以外は多くないと思う。
ビザスクとは、専門家の意見を、匿名で1時間から、8万円程度で聞けるサービスである。
これを、あなたは便利だと思うだろうか。
私は、これは脅威であるとともに、確実な時代の変化を感じる。
かつては、このような専門スキルはなかなか手に入らなかった。
より正確にいえば、このような専門スキルを活用できるのは、その能力者を抱える数少ない大企業だけであった。
それが、今では、このサービスを通して、だれでも活用できるようになったわけである。
これは、一見素晴らしいことのようにえる。だが見方を変えると、専門スキルの低コスト化が進んでいるとも考えられる。
何十年もその道で経験を積んだ方の知恵をたった8万円で活用できるのでれば、その業界の若手の価値は一体何なのであろう。
このように専門スキルの価値低下が進行している社会の中で、より重要性を増していることは、”価値を生み出すこと”だと私は考える。
ビザスクで、たった8万円で専門家のスキルを活用できると述べた。
しかしながら、この8万円の専門家のスキルを用いて、8万円以上の価値を生み出せる人間はどれくらいいるだろうか。
つまり、自分自身が、8万円以上の価値を出せなければならないのである。
リソースの低コストが進んでいる現代だからこそ、
如何にしてリソースを活用して、その安いリソースの使用料を上回る価値をつくりだせるのか、が専門知識よりも重要になってきている。
これに、診断士としてどのように対処すればよいだろうか。
診断士の仕事は、顧客の問題解決である。
顧客の問題を解決する際に、いかにしてリソースを活用するか、そして、そのリソース以上の価値を出すのかが重要になると考える。
これまでは、専門スキルや専門知識というのは、それ自体に価値があった。
しかし、現状を考えると、こういったものの価値(正確には、提供者が求める対価)が低くなっている。
つづく